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ぴあのピアの徒然日記

福岡でピアノを楽しむサークル、ぴあのピアの日記です。コメントは機能していませんので、メールを頂けると助かります。

クラビアハウス-2 

前回のクラビアハウス訪問記で書ききれなかったことをいくつか。

知人がネット動画の音を聴いてこれだと目星をつけていたのは戦前のグロトリアンシュタインヴェークだったのですが、実物に触れてもそこに食い違いはなかったようで、あっさりこれを購入することになりました。
もちろん、他の3台も触って音を出してみた上でのことですが、各ピアノの個性やタッチなどから、この1台に決したのは極めて自然なことだと思われました。

それほどそのグロトリアンは1台のピアノとしての完成度が高くて自然でした。
曲や弾き手を広く受け容れる懐の深さがあり、いい意味でのきれいな標準語を話すようなピアノでしたから、なにか突出した個性を得るためその他のなにかを犠牲にするということがまったくないピアノだというのが率直なところ。

あくまでも個人的な意見ですが、ベーゼンドルファーやプレイエルは、これらのピアノに思い入れがあるとか、すでになんらかのピアノを持っている人が、さらに自分の求める方向性を深く追求するために購入するには最高のチョイスになり得ると思いますが、そうでない場合はもう少し普遍的な要素を持ったピアノのほうが賢明かもしれません。

その点では、中間的な個性かもしれないのがブリュートナーで、一応どんな音楽にも対応できるピアノではあるけれど、それでもなおドイツ臭はかなりあるので、弾き手の趣味や好みの問題が出てくるとは思います。
艷やかで量感のある音なので、やはりドイツ音楽が向いていそうで、とくにバッハなどには最良かもしれません。

ドイツ臭といえば、工房で修理中であったアートケースのベヒシュタインはさらにその上をいくもので、発音そのものがまるでドイツ語のアクセントのようでした。ちょっとベートーヴェンなどを弾いてみると、うわぁと思うほどその音と曲がピタッと来るので、やはり生まれというのはどうしようもないもののようです。
そういえばマロニエ君がバックハウスの中でも最も好きな演奏のひとつである、ザルツブルク音楽祭でのライブ録音のヴァルトシュタインは、いつものベーゼンドルファーではなく、なぜかベヒシュタインのEで、それがまたいい具合に野性味があって良かったことを思い出しました。

その点でいうと、スタインウェイは何語ともいいがたい音だと言えそうで、強いて言うなら、もっとも美しい英語かもしれないし、あるいは何カ国語も流暢に話せるピアノかも。それでもニューヨークはまだアメリカ的要素があるけれど、ハンブルクはまさに国籍不明。

さて、そのベヒシュタインのところで話題になったのが響板割れについてでした。
マロニエ君は響板割れというのは目に見える響板のヒビや割れのことだと思っていたのですが、そればかりではないということを聞いたときは意外でした。

ヴィンテージピアノの多くには響板割れはしばしば見られるもので、それらは必ずしも見てわかるものではなく、冬場だけ木が収縮してようやくわかるものがあるなど状態もさまざまで、目視だけでは油断はできないのだそうです。
クラビアハウスではピアノを修理する際、この見えない響板割れを突き止めるために、特殊な液体を使って割れの有無を確かめるのだそうで、新品のようにレストアされたプレイエルにも、よく見ると響板割れをきれいに埋め木で補修した跡があり、こうして手を入れることでピアノは人間よりも長い寿命を生き続ける楽器であることがよくわかります。

ここのご主人は、驚いたことにこの10年の間に40回!!!ほどもピアノの仕入れのためにヨーロッパへ行かれたそうで、その際には裏の裏まで徹底的にピアノをチェックして納得のいくものだけを購入される由で、一度に多くても2~3台、場合によってはゼロで帰ってくることもあるとのことでした。もちろんその納得の中には、ピアノの状態に対する価格の妥当性という面もあるのだとは思いますが、とにかくその手間ひまたるや気の遠くなるような大変なものというのが率直な感想です。

前回も少し触れましたが、ここの価格は望外のもので、疑り深い人はその安さから不安視することもあるかもしれないと思うほどですが、マロニエ君の結論としては、購入者はピアノの状態を見て聴いて触れることは当然としても、お店の方の人柄とかピアノに対するスタンスというものが、もうひとつの大きなバロメーターになると思います。
というのも、ピアノのような専門領域を多く含んだものを購入する場合、すべてを素人が自分でチェックすることはまず不可能で、あとはお店に対する信頼しかないわけです。
とりわけヴィンテージと言われるピアノになればなおさらで、修理や調整を手がけ、すべてを知り尽くした人だけが頼りです。

最後に、ヴィンテージピアノといっても、きちんと適切な修理調整をされたものは、けっして一般的なイメージにある古物ではないことを強調しておきたいと思いますし、下手をすれば人工合材の寄せ集めのような新品ピアノなどより、この先の寿命もよほど長いかもしれません。
今回弾かせていただいたいずれのピアノも(とくに3台は戦前のもの)、古いピアノにイメージしがちな骨董的な雰囲気とか、賞味期限を過ぎたもの特
有のくたびれた感じなどは皆無で、90年ほども前のピアノという事実を忘れてしまうほど健康的でパワーがあって、少なくとも自分の命のほうが短いだろうなぁと思えるものばかりでした。


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2017/09/26 Tue. 02:02 | trackback: 0 | comment: -- | edit

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